ハタを立てろよ!

ワーホリで英国に来た男の一旗揚げるまでの軌跡と雑記になる予定。

【もっと映画が楽しくなる?】Whiplashのフレッチャー先生に学ぶSwear Phraseの数々。

 先日Whiplash(邦題:セッション)って映画をオススメされたので鑑賞したのですが、素晴らしい映画でした。素晴らしいというか、すげえ勢いの映画。

 偉大なジャズドラマーになろうと血噴き汗飛ばして努力する青年ニーマンと罵声・イス投げ・張り手と超絶ドSぶりを売りにする音楽学校教師フレッチャの関係の妙を描いた作品なのですが、本記事ではあえて内容には深く触れずに、作中で出てくるフレッチャーの罵声というか言葉責め(Swear Phrase)にスポットを当てて英語、その背景を考えてみたいと思います。ネタバレはなるべく避けますが、鑑賞してからお読みいただければよりわかりやすいと思います。あとSwear Phrase自体を不快に思う方はとりあえず戻るボタンでも押しといてください。

※トレーラー置いておきます

 英語で映画やらドラマやら見ててよくこんなフレーズ思いつくよなー、って思うことけっこうありませんか? 特にこれから見ていくヤジやら罵りについては捻りがあったり、文化的背景が垣間見えたりして個人的にはすごく興味深いのですが、もっと他に覚えるべきことがあるだろう、とよく人からは言われます。そのとおりだと思います。

 でもなんか惹きつけられるんだよなー、こういうフレーズがポンポン浮かんだら英語ももっと楽しいかもしれないよなー、という危険な妄想の赴くままに、行きましょう。

 

 のっけからいきなり下ネタ気味で恐縮ですが、なにげにスゴいフレーズです

"Barker, That is not your boyfriend's dick. Do not come early."

 シーンとしては練習中、セッションの中で一人が走り気味に演奏したのを注意しているところ。なんですが、単純に"Do not come early"と言えば"早くでてくるんじゃない"という意味として成立するのにもかかわらず、前半の"That is not your boyfriend's dick.(それはお前の彼氏のチ◯コじゃない)"があることで全く別の意味が含まれることになります。

 一つはこのBarkerを(実際どうかわかりませんが)ゲイ呼ばわりしてますよね。your boyfriendと言ってるわけですからBakerに彼氏がいると言ってる事になります。そして"come"を"(性快楽的に)達する”という意味があることを踏まえると、"彼氏との時はいいかもしれんが、今は早くイッては駄目だ"という含みが出てきます。わかりますでしょうか? 一回走った演奏をしただけで、ゲイ&早漏呼ばわり。ひゃー!フレッチャー先生恐ろしすぎる。しかし、このシーンで当のBarkerは静かに頷くのみ。私なら心がバッキバキに折れてます…。次!

 

 シーンとしては、また練習中に"この中にチューニングがずれている者がいる"と言いだしたフレッチャー先生が、「お前か?」と一人を詰問しているところ。お怒りの様子のフレッチャーに問いただされた生徒は半泣きの状態で黙ってうつむきます。そこで出てきたフレーズがこれ。

"There's no funcking Mars Bar down there. What are you looking at?"

 ”そんなところにマーズバーは無いぞ?”って、まあ言ってることは当たり前なんですが、この生徒がぽっちゃりしてるところに引っ掛けて遠回しに”いつでもマーズバーを探してるデブ”と言ってるようにも取れるわけです。私は個人的によくここで、マーズバーという具体的な食べ物が浮かんでくるなーと感心しちゃうんですな。ちなみにマーズバーとはスニッカーズに似たような棒状のむっさ甘いチョコレート菓子の商品名です。

 ここからは私の想像ですが、この注意された生徒はスコットランド出身なのでは、と思ってます。というのも、マーズバーはとりわけスコットランドでは人気らしく、Deep Fried Mars Bar(下写真参考)というものがあるくらいなので、数あるチョコレート菓子の中からわざわざマーズバーを引き合いにしたのも彼がスコットランド出身であればより精神的なダメージが加わるってなもんです。さらにフレッチャー先生は「生徒に親身に話しかけて個人情報を聞き出し、後の罵声に利用する」という言葉責めのためにはリサーチも惜しまないやり手、というのは後々のシーンで判明してきますので、そういった点もこの推測を裏付けるのではないかと思ってます。

http://www.flickr.com/photos/67287915@N00/1622353060

photo by Christian Cable

 ちなみに私はこのDeep Fried Mars Barをエジンバラ滞在中に食べてみました。想像の通りのカロリーの塊的な味でしたが思ったより露骨なグロテスクさは無く、(一度食べれば十分だけど)一見の価値ありかと思いましたので、是非みなさんも機会がアレば...。次!

 

 遂に来ましたニーマンのターン!テンポがおかしい!とフレッチャーにバチンバチン頬を引っ叩かれた主人公ニーマンが悔し涙するシーンにて、投げかけたセリフ(の一部)がこれ。

"Do I look like a double fucking rainbow to you? You must be upset."

 教科書的に訳せば”私がダブルレインボーに見えるか?お前は動揺しているに違いない”という意味になりますね。さらに教科書っぽく言うと”私がダブルレインボーに見えるか?いや見えるわけがない(反語)。お前は動揺しているに違いない”という感じでしょうか。ここでなぜダブルレインボーがでてくるのか、ってことなんですが、これは「滅多に見ることが出来ないありがたいモノ」の例なわけですな。日本人の感覚に当てると御来光みたいなもんでしょうか。

 つまり、”なぜお前は泣いているのだ?”→”私が涙するようなありがたいものに見えるのか?”→”いや、見えるわけがない”→”だからお前は動揺しているに違いない”というロジックがこのフレーズに隠れているわけです。ていうかお前が散々顔面張ったせいじゃろうが!!とは言いたくても言えないニーマンはもう悔しくてしゃーないわけですな。この鬼畜!!

http://www.flickr.com/photos/93663762@N00/7161556575

photo by Mark Blevis

 

長くなってきましたので、続きます!

 

  

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